モノ言う消費者にならなければいけない日本人

先般の某携帯電話会社の件に関しては円満解決の方向へ舵が切れた。

スキルに富んだ対応者に当たれば被対応者はそれなりなのか完全になのか満足する対応を受けることが出来るし、スキルの足りない未熟な対応者に当たれば被対応者は不満を募らせ、問題がこじれ最終的には残念な結果に終わる事もある。

要するに対応者次第という事だ。
今回の件は、2度目の対応で前者の様な対応者に変わり、良い方向へ動き出したので記事は削除をした。物を伝える立場の人間として事実を伝えそれに対する客観的な評価を伝える事も必要だが、今回の件はあの記事が意図通り有効に働いてくれて、そこに有った1つの目的も果たせた。解決に向かう兆しを見せているものに関して、いつまでも批判じみた記事を表に出しておく事はアンフェアだ。そして、解決へ向う様に策を示した対応者にも失礼だ。

という事であの記事はお役御免にしたいと思う。

ところで、今回の件で改めて考えた事がある
それは、売り手と買い手のパワーバランスだ。これに関して考えている人は意外と少ない。この話をしたら「そんなこと考えてる人なんかいない。」と一笑に付される事もある。しかし、その一笑に付してしまうと言うその意識。本当にそんな意識で良いのだろうか。

その意識が売り手と買い手のパワーバランスを崩してしまったとは言えないだろうか。今の売り手と買い手の在り方を見ていると、それは不健全に見える。何処が不健全なのか・・・。

そもそも、売り手と買い手は対等であるべきではないだろうか。
しかし、その対等であるはずの売り手と買い手のパワーバランスが
崩れ売り手が強くなり過ぎ、買い手が弱くなりすぎたように見える。

言い換えると、売り手の都合が強く働きすぎる様になったと言う事だ。何故そんな事になってしまったのだろうか。と考えてみると1つのところに考えが及んだ。

「モノ言わぬ消費者が増えたからではないだろうか・・・。」
モノ言わぬ消費者。確かに多い。何かあっても文句ひとつ言わず何もなかったかのように表面上やり過ごす。しかし、陰で色々囃し立てる。実際にその声は売り手に届かない。結局のところ、モノ言わぬのと同じ事だ。

そんな事を繰り返した結果売り手はどうなってしまったかと言えば・・・
買い手は自分たちの言う事を何でも聞くと勘違いした売り手が出てきたかと思えば、売り手としての思考レベルの足りないスキルの低い売り手まで出てきた。それが今のオカシな売り手と買い手のパワーバランスを作りだしてしまったのだと私は考えている。

例えば・・・
売り手の都合が優先され買い手は蔑にされる。
売り手の言う事を聞かなければ十分なサービスを受けることに障害が出る。
売り手が嘘をついてもそれがまかり通る。

こんな事があっても買い手は売り手がいないとモノが買えなければ生活に必要なサービスを受ける事が出来ない為、結局売り手に従って動いてしまう。そんな事は起きていないだろうか。
そして、そんな事が起きても買い手は「そんなものだろう」という訳のわからない納得をしてしまう。

こんな悪循環が売り手の大きな勘違いを助長させることになってはいないだろうか。
これは全て「モノ言わぬ消費者日本人」であることの弊害ではないかと思う。

結局はそれが売り手の勘違いを招き、売り手のスキル低下を招いているとも気づかずに・・・。

今は、売り手を選べる時代になった。だからそれでも良いんだよ。なんて声も聞こえてきそうだが、そんな事を言っていると売り手が淘汰される前に買い手にもっと大きな問題が出てくるようにも思う。
実際には色々な問題が出てきているのだが・・・。

売り手を育てるのは全て買い手の責任だと私は思っている。
モノ言わぬ消費者である買い手はその責任を放棄しているのではないかとすら思う。だからこそ今のようなパワーバランスの崩れが起きオカシな売り手市場が出来上がってしまったのではないかとも感じるのだ。

売り手と買い手は本来健全なパートナーシップで結ばれるべきで、売り手だけ突出して強いのは極めて不健全だ。その不健全なパートナーシップを結ばない為にも、不健全なパートナーシップを解消し、健全なものに変える為にも「モノ言う消費者日本人」である必要があるのではないだろうか。

日本人の中に、大人しくして何があっても我慢している事が美徳だと言うモノがあるなら今すぐそんなモノは捨て去って健全な環境を作る為に時に強くモノを言うべきだ。

ただ、注意をしなければならない事もある。
社会通念上許されない要求をしてみたり、企業として出来るわけがない事を言ってみたり。それはモノ言う事と違う。ただの強請集りだ。消費者がやるべきは売り手と買い手が対等でより良いパートナーシップを築く為の行動としてモノ言う事でオカシなことをやれと勧めるものではないのは聡明な読者の方は分かって頂けると思う。

消費者がモノ言わぬ環境。
近江商人が言った「三方良し」には絶対になりえない。