ドラマ半沢直樹を海外に持っていくとどうなる

さて、TBS系人気ドラマ半沢直樹の最終回も迫ってきた。
何度となく話に聴き自らも経験した事のある日本企業の裏側を描き出したドラマで且つ主人公である半沢直樹の痛快さが好評を受け最近の日本のドラマには無い人気作品となり視聴率では第9話が放送された9月15日の平均視聴率が関東で35.9%、関西で36.7%を記録した。来る9月22日の最終回では40%越えも期待されている。

実はこのドラマに関して1つくだらない事を考えていた。

「ドラマ半沢直樹を海外へ番販したら視聴者からどんな反応があるか・・・」

そんなくだらない事を考え出したきっかけは、ある時に立ち寄ったカフェでの妙齢の女性数人の会話が何処からともなく耳に入ってきてからだ。

半沢直樹って海外で放送しても絶対にヒットするよね」
「するする。間違いない。だって韓国のドラマだって日本でヒットしてるんだし」

それ以来、そんなくだらないことを何となく考えていた。


ドラマがヒットするのは色々な要因があってこそだとは思うがこのドラマは現在の日本という国の社会情勢と崩れてしまった雇用関係が社会問題化している中でその部分がピンポイントで視聴者に刺さったという極めて希有な例ではないかと思う。

例えば会社や役員にとってはただのコマでしかない一介の課長が立ち向かいその不正を暴こうとする姿が描かれているところなんて言うのは、まさに今の日本企業の病巣を突きたいが突く事の出来ない会社という組織に従属する人々にとっては共感する点なのかもしれない。

では、それを海外に番販(番組販売)した時にどうかと言うと・・・。
正直、日本の様な反応を得ることが難しいのかもしれない。労使の関係が日本のように硬直化していない環境で且つ会社の不正を一社員が追及すると言う事が日本に比べて難しくはない欧米型の雇用環境の中にいる人々にとってはこのドラマで描かれている事は当たり前のことかもしれない。また、抗日ドラマの影響で富裕層に属する視聴者の見る目が養われつつある中国ではドラマの中の出来事、謂わばファンタジーとして処理をするのかもしれない。

そして韓国には規制が緩和されているところがあるとはいえ、日本のテレビドラマ・バラエティ番組に関するコンテンツ規制が未だに残っている為それを韓国に番販するという事も難しそうだ。色々な環境を見た時に、日本で制作され人気になったとはいえ「半沢直樹」という作品が海外でもヒットするかといえば直ちにそうなるとは思えない。

何よりもドラマはカルチャー(文化)の問題だ。
描かれているものがその国の文化にいかに合致しているかが大きな問題になる。今回の「半沢直樹」というドラマはそれが見事に日本という国に填っただけで海外に番販という形で持って行ったとしても、その先の文化に合致しない限りヒットなんてものはないだろう。

その前に・・・
自分の回りを基準にして物事考えるのは日本人の悪癖の一つだ。
自分が見ているドラマを評価するのも結構だが、自分が見たものや自分の周りが考え方の基準になると言うその悪癖は直ちに治した方がよいのではないだろうか。