労基署が動いてもブラック企業は無くならない現実

もう9月も終わろうとしているが、厚生労働省は9がつを「過重労働重点監督月間」として、ブラック企業の撲滅にのり出しているそうです。しかし、そんなものでブラック企業が無くなるのだろうかという疑問が沸々と沸いてくるのであります。


先日のテレビ朝日系「朝まで生テレビ」でもこのブラック企業が取り上げられ、何だか話がかみ合わぬまま話があらぬ方向へ行き、著名なご老人や何だかよく分からない若い経営者がブラック企業撲滅を掲げて活動しているNPO関係者をお説教するの図が展開された様に見えなくもなかったわけですが、そもそもブラック企業って何なんでしょ。

というわけでデジタル知恵蔵で調べてみた。


度を超えた長時間長労働やノルマを課し、耐え抜いた者だけを引き上げ、落伍(らくご)者に対しては、業務とは無関係な研修やパワハラ、セクハラなど肉体・精神を追い詰め、戦略的に「自主退職」へと追い込む企業
という事のようだが、労基署が 監督基準とする「労働基準法」で監督できる範囲と言えば労働時間位なもの。そしてそれに付随する賃金位なものでこの定義するものとは大きな乖離があり、労基署にはおのずと限界があるのであります。

労働基準法」ってのは結局最低の労働条件を示す指標でしかないのであります。
それを武器に労基署ブラック企業と呼ばれる企業に立ち向かってもそれは長時間労働の是正と未払い残業代の支払が出来る位なもので根本を潰すには程遠いものだと言う事を1つ覚えておいた方が良いのではと思うのですが、労働基準監督署って言うのはどこまでの事が出来るのか分からない人たちにはそれでブラック企業根絶くらいの効果があると勘違いする人も出てくるのです。

この労基署の監督官は司法警察権持っている為、逮捕・送検といった警察と同じ事ができますが、この伝家の宝刀を抜くのは悪質な証拠隠しや改ざんなんかがあった場合だけで殆どその伝家の宝刀は抜かずに終わってしまう事が殆ど。監督を受ける企業側もその実態を分かっているのでその時凌ぎの対処だけやって後は背中向いて舌を出しているとそんな恰好なわけです。

ブラック企業ってのはそもそも労基署が監督権を持っている様な所に問題があるわけではなく、企業としての労働者に対する考え方の根本に問題があるわけでその部分を根こそぎ引っこ抜く位の事が出来ないと「ブラック企業根絶」なんてのは儚き夢に終わってしまう事を考えるべきなのですがね。

政府の対策ってのは何事も物事の表面的な部分しか捉えていないと言うのが世の常であったりします。特に今回の対策はブラック企業対策に効果があるなんて言ってやっていますが、実はそんなもの何もないのに等しいということだということで、労基署が動いたとしても
伝家の宝刀を抜いてもブラック企業は無くならない訳です。

ブラック企業なんてのは、ネットスラングから広まった言葉で単なる個人の感覚の問題でしかないと言う事も抑えておかなければならないし、企業全体の問題なのか一管理職による属人的な問題なのかという事もある。

その辺を考えておかないと一律にその括りで、モノを語るのは危険なのでありますよ。
これはね法律の問題だけではない意外と複雑な問題なんですよ。厚労省さん。