大阪のテレビ番組は商品。東京のテレビ番組は商品ではなく・・・。

テレビが面白くないと言われて久しくなる。
失われた20年という括りの中でスポンサー収入が減少し製作費の捻出した事に起因する番組作りの質の低下という様な事も言われる。
 

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北海道テレビ放送の「水曜どうでしょう」のようにソーシャルメディアというものが今の様な形を見せる前にソーシャルリスニングを番組ホームページの掲示板などで自発的に且つ先駆的に行っていた番組もある。それはそれとして。
 
総じて、テレビというものは面白くない。評論家によってはテレビで仕事をしながらも「テレビの役割は終わった。」なんていうモノ言いをする者までいる。そんな状況にある中で大阪で制作された番組が本当に面白い。そして元気がある。
 
私のルーティンの中には幾つかのテレビ番組の視聴がある。
その大半を占めるのが大阪のテレビ局が大阪制作の番組だ。ただし、大阪のテレビ局が制作している番組でも東京制作の番組は正直見ない。実はここにテレビが面白くない理由がある様に感じている。
 
では、どんな番組をルーティンとして見ているのか。テレビ局と番組名を書いてみたいと思う。
 
 
どれも新しい番組ではない。そして、それぞれのネットワークのキー局であるテレビ朝日、日本テレビ、テレビ東京では放映されていない番組だ。面白い理由はそこにもあると私は思っている。
 
やしきたかじん氏の冠が付いている2番組については言いたい事が言えなくなるとして東京では絶対に放送しませんとまで言っている。これが意味するのは全ての権力が集中する東京ではタブーが多過ぎるという事だろう。
 
これだけの事を言っているのだから当然、これらの番組にはタブーが無いのだ。放送内容然り、演者の発言内容然りどれをとってもタブーはない。どうしても発言内容に問題がある様であれば音声処理をして映像だけ流す。
 
東京制作のテレビ番組であればどうなのか。そんな事はせずにその場面は単純にカットされてしまう。その程度問題に因っては番組すらなくなってしまう。実際に、10月にTBSで新番組として放送された番組がどうやらクローズアップされた業界の恥部に触れてしまったらしくTBS内外からの圧力(?)で一旦放送を休止するという事件も起きた。表面上は違う理由で報道をされたが・・・。
 
タブーが多く自主規制が働き過ぎるのも面白くなくなる一端かもしれない。
 
では、東京制作と大阪制作では何が違うのか見ていきたいと思う。
製作費が東京よりも余計にとれているかと言えば全く違う。極端な物言いかもしれないが「0」が一つ違うとも言われている。演者のギャランティも然りだ。
 
では何が違うのか。
東京と大阪。両方のテレビ制作を経験した同級生に聞いた話だがこれには正直驚いた。その同級生曰くではあるという前提で理解して欲しいのだが番組作りの順番が違うのだ。
  • 東京制作・・・企画より先にタレント
  • 大阪制作・・・タレントより先に企画

ここに東京制作のテレビが面白くない理由があると言うのだ。
現在、キリンビール九州統轄本部長をされている佐藤章氏の著書「ヒットを生み出す最強チーム術」の中に出てくる「商品開発の掟14カ条」になぞらえて考えれば、その14番目に出てくる
 
「商品は会社の都合でつくらない」

と、いう基本に東京は悉く背いてしまっている。番組が商品であるならば、そういう商品創りをしているとなる。

タレント優先で企画はその後という考え方を言いかえれば東京はタレントという商品を惹きたてる為の番組という売場を創っているという言い方もできなくはない。
 
それに対し大阪はタレントより先に企画という流れを考えれば、視聴者重視で番組という
商品作りをしているとなる。正攻法で商品作りをし、そこにはタブーも存在せずサプライズすら存在する。企画がキャスティングの前にハッキリしているので演者としてその制作に参加をするタレントも、その企画を惹きたてる為の振る舞いが出来るわけだ。

結局のところ・・・
  • 東京制作・・・タレントという商品を売る為のテレビ番組という売場
  • 大阪制作・・・テレビ番組という商品

という事でまとめてしまっても良いのではないかと思う。
 
東京で制作される番組を見せられている日本の大多数の視聴者は、番組という商品を提供されているのではなく売場を見せられているだけなのであるとも言える。その売場にサプライズが無ければさすがにそれは面白くないと評価をされテレビ離れを助長しても仕方ないのではないだろうか。
 
売場の構成に面白味が無く何のサプライズもないスーパーマーケットには行かないのと同じ事だ。
 
東京のテレビ制作者が売場作りではなく商品作りにシフト出来るか。
実はこれが日本のテレビ再興の近道の様な気がする。しかし伝え聞く状況では気づいていてもその方向に向かえないと言うジレンマがある様にも思えてならないが、そのジレンマから抜け出せた時に日本のテレビはまた面白くなるはずだ。
 
だからこそ・・・。
今一度、テレビに携わる全ての人たちが番組は商品という原点に立ち返るべきだと私は思う。