益々不安になってきた特定秘密保護法案

ますます不安になってきました。特定秘密保護法案。

前に答弁があっちにフラフラこっちにフラフラする担当大臣について書きましたが本当に不安になってきました。何故不安かって言うと「成立後の制度見直し検討」なんて事を言いだした始末で。

 

「成立後の制度見直し」って何を示すかって言うと・・・

「ダメなところがある」と暗に示した様なものなのです。しかし、成立後見直し検討って言ったところで霞が関では「検討は検討。あくまで検討ですから♪」という事で検討した既成事実さえあれば特段見直しをしなくても通じるわけですからね。

政治の力が働くなんてのは法律が運用される前、即ち案の段階で如何に力を働かし間違ったものにならないようにできるかが政治に問われている事であって、一度役所の手に委ねたものはそうそう容易く見直しなんかできないわけです。

 

それにも拘らず「成立後の制度見直し」ってことを答弁でいうってことは単純な話、「成立急げ」のサインが内閣の中で出ているってことなんでしょうね。このタイミングで決めてしまわないと通常国会での新年度予算審議が終わり予算案が成立しないとこの法案を決められないなんて事にもなりかねないわけです。そうなると最短で来年4月というわけです。

来年の4月にそんな事が出来るかと言えば、消費税の増税後にそんな話が状況的に通らない可能性もあるわけで、それを考えた時に苦しまぎれで「成立後の制度見直し」の検討なんて事を言ったという事でしかない様に思うのが妥当でしょうね。

 

ところで日本の秘密保護法案についての海外の評価を見れば、この法案がどれほどのものか解るってことなんでしょうけどニューヨークタイムス紙が10月29日付の社説で「日本の偏狭な秘密法」と題し批判を展開した。

 

 日本政府は特定秘密保護法を成立させようとしているが、これは国民の知る権利を根底から覆すものだ。この法律はすべての閣僚に、国防や外交、スパイやテロ防止に関する情報を機密扱いにする権限を与える。しかし何をもって秘密とするかのガイドラインはない。この定義がないことで、政府は不都合な情報をすべて秘密に指定できる。*1

 

 政府にとって都合の良い悪法であり成立すれば日本国民の権利を守れないと海外メディアからも言われちゃったわけですよ。常識的に考えても大臣や公務員ではない第3者がその秘密指定に関われないなんてのは日本ならでわの封建的な内向きで且つ都合の良さが面白い位に出ちゃっているわけでありましてそりゃアメリカから見ると何を言ってるんだろ日本の政治家たちは・・・。となっちゃってもおかしくないわけです。

確かに何処かの近い国々を除いた通常の思考回路を持っている国々であれば、そんなモノは笑い草にしかならず出すのもはばかられるわけです。しかしながら日本でこんなものが真顔で出せちゃうのはその辺の思考回路が何処かの近い国々と変わらないと言う事なのかもしれませんね。

 

今一番心配なのは委員会採決時に無茶をしちゃいそうな空気感が少し感じられる事です。与野党修正協議という事で野党各党と自民党が法案修正に向けた協議を行っていますが、「協議はしたけど歩み寄れなかったからね。」なんて言いながら「強行採決」という伝家の宝刀を抜いちゃう可能性もなくはないのかな。という感じすらするのです。

12月6日の臨時国会会期末をにらんだ時に衆議院で伝家の宝刀を抜くのであれば11月18日週の週末あたりがXデーのような嫌な胸騒ぎがするのは私だけではないように思うのですがいかがでしょうかね。

 

前にも話しましたが、立法の趣旨は理解できなくはないんです。

でもね、中身があまりにもひどいんです。やりたいのであれば腰据えてニューヨークタイムスが言っている様に知る権利を根底から覆すものではなく偏狭にならないようにすれば誰も反対はしないんです。

兎にも角にも法律運用者だけに都合の良い法律は許しちゃいかんのです。

*1:ニューヨークタイムス10月29日付社説 Japan's Illiberal Secrecy Lawより引用