福島県内市長選挙で起きている異変から考える

今、福島県内の市長選挙で異変が起きている。

4月の郡山市長選挙、9月のいわき市長選挙、11月の福島市長選挙・二本松市長選挙この4つの市長選挙において現職市長が敗戦の弁を述べる事になった。現職市長の4連敗はちょっとした異常事態だ。

 

福島県内に関しては東日本大震災に関連して起きた原発事故からの復興真っ只中。

そんな時期に首長が変わるのは今後のその自治体の復興に関する動きにも関わる大事だ。そんな時期に首長が変わったと言うのだからそれぞれの市民から見るとそれなりの事情と想いがあったということ。

 

昨年12月、衆院選後に政権交代が起こり安倍内閣総理大臣が誕生した。その直後から民主党系首長候補や現職が落選スパイラルに陥ってはいたが、そこにはあまり関係は無い中味だ。現実問題として福島市郡山市では自民系候補が落選している。

その2市で当選しているのは無所属候補であり、福島市にいたっては地盤も看板もない候補が当選をした。この内容に関しては、原事故以後の対応を見た結果としての表れという評論が多い。進まぬ復興、原発事故処理の遅れなどを考えると現状を変えたいと言う住民の意志である事は間違いない。

 

住民の選挙による選択は当然尊重されるべきものだが、この時期の首長交代が適切かという疑問も残る。復興途上に首長が交代する事で議会との対立も考えられる。当然ではあるが新市長と議会の対立なんてものは良いわけがない。市政が停滞するだけではなく復興の停滞に拍車がかかるという懸念もある。

震災発生、原発事故発生の瞬間から当時の政権の考え方の為せる業から、あらゆるものが停滞した。そして政権が変わった今もその時の影響から停滞し続けている。今回の首長交代で障害が起きるという事が起きれば更なる停滞を招く可能性も否めない。

 

先述のとおり選挙の結果は住民の意思なので尊重されるべきだが、市長が打ち出す復興政策には当然限界がある。その予算は当然、市の予算だけで賄いきれるものではなく県や国に依存をしなければいけない部分も出てくる。

その十分な復興政策を打ち出せずそれぞれの市政に影響が出たのだとすれば、それは時の政権はその責任から免れる事は出来ない。とすれば発災後、事故発生後に十分な予算措置が出来なかった民主党の責任という事にもなる。

 

当然のことながら、即時性のある予算は確保した。

問題は長期的な側面で必要な予算だった。復興税という形での予算確保をしてしまったのが全ての停滞の原因ではなかっただろうか。当時、下野していた自民党は建設国債を発行する事での長期的予算の即時確保を主張したが、国債発行の抑制という事に囚われ過ぎた時の政権は頑として首を縦に振る事は無かった。震災部分の遅れはこれが全ての原因だ。原発部分に関しては、時の政権が全て東京電力任せにしてしまった事に尽きる。

 

こうして当初、少しの遅れだったものが首長選挙が行われる現時点では大きな遅れとなりそれぞれの市政の批判につながった側面もある様に思える。もしもそうだとすれば、今回落選した現職候補たちは民主党政権の亡霊に取りつかれた被害者なのかもしれない。

 

選挙の結果を責任転嫁する様なことはしない方が良いのかもしれないが、そう考えると民主党の責任はとてつもなく重い。