極めて行儀の悪い秘密保護法案の衆院採決

11月25日福島県において首長や弁護士などが出席し衆院の地方公聴会が行われた。
 
傍聴券が政党に割振りされ、それが一部配布されなかったため傍聴席は半分が空席。傍聴券を持たない傍聴希望者を空席に座らせる事を求めた傍聴者の声を無視した。
この地方公聴会では陳述人は誰一人として賛成者はいなかった。地方の意見・被災地の意見をもっと拾うように求められた。情報公開ありきではないかとも言われた。震災時の情報公開の件に関しても追及を受けた。さらに拙速に決議をするべきではない。と与党推薦者からも慎重な審議を求められた。
 
しかし、この地方公聴会。開催地福島ではアリバイつくりのための道具だとも言われた。馬場有 浪江町長が震災時のSPEEDIの件を指摘すれば自民党の今津寛委員会理事がSPEEDIは対象外だと説得をして見せたり公聴会とは名ばかりの地方説得会と言った様相にも見えた。
 
その公聴会終了後には、額賀福志郎委員長がこんな事を言っていた。
非常にい意見交換が出来た。与野党で議論してまとめたい。
 
その翌日、何を議論したのだろうか。
議論もなしに予想通りの流れが待ち受けていた。
11月26日 午前 衆院特別委員会で秘密保護法案が委員会採決された。
同日 18時40分 衆院本会議が行われる。
同日 20時11分 衆院本会議にて討論の後、賛成多数で修正議決。
 
自民党の旧来のやり口だった。
福島で行われた地方公聴会の陳述人は見事なまでにアリバイ作りの道具にされてしまった。一箇所でも公聴会を開けば、それは既成事実となる。一箇所でいいのだ。採決はその翌日でもかまわない。そして予定通り、審議打ち切り・委員会での強行採決。本会議での修正議決・賛成多数。
 
見事なまでに行儀の悪いやり口だ。
しかし、行儀の悪さがまかり通ってしまうのも今の国会だ。
民主党が何を言っても「決められなかったものたちが何を言うか」で除けられ、みんなの党は連立狙いか自民党の腰巾着と変貌を遂げ、維新の会は採決が行われる委員会と本会議から逃げ、その他大勢は何も出来なくて。
 
そんな状況では行儀の悪いことをやっても誰にも咎められない、国民に咎められてもそれは意に介さず、やりたい放題がまかり通ってしまっている。やりたい放題やってもらうために自民党を選んだ訳ではないのだが・・・。
 
しかし、考えないといけない事がある。
自民党が突っ走るために、ガソリンを入れ続けたのは誰なのか。公明党ではない。みんなの党でもない。行政だ。行政のスケジュールに乗せられ行政の敷いたレールを走らされただけ。この法案が法律になる事で役所はさらにやりたい放題やれるようになる。そのために自民党にガソリンを入れ続けたのだ。
 
目的は簡単な話で官僚政治を推し進めたい行政に立法がねじ伏せられたと言う事だ。すなわち立法府の敗北。行政は上手くシナリオを組み立てたものである。
 
それにしても、行政からのガソリンで勢いを付けられた自民党の行儀の悪さ。
未来を担う子供たちに見せられた代物ではない事だけは間違いない。