大学卒の学歴を求められる仕事ってどんな仕事?という疑問からつらつらと。

秘密保護法に関する行儀の悪い衆院採決から1日が明けたが、行儀の悪さに閉口するばかりで何の感慨も浮かばないのは何だろうか。参院の審議も或る種セレモニーに終わってしまう事が見え過ぎている事から来る何らかの喪失感なんだろうか。

 

話は変わり・・・。

私は、専門学校で時間講師をやっている。

卒業年次の担当もしており学生が就活をする姿も観てきた。私が担当する学生はそこまでの悲壮感漂う前にほとんどの学生が内定を得て10月の声を聴く頃には全ての学生が就活を終えた。

卒業年次に関わる先生と学生とで、ささやかな祝杯をあげる為の席を設けてお祝いをしたものだ。

 

その祝杯をあげている最中、ある学生がこんな事を言ってきた。

 

大卒じゃないと出来ない仕事って何でしょうかね。大卒じゃないと募集対象にしない。って言うのはなんだか納得いかないんですよね。

 

この学生が本当のところ就職したかった会社は大卒見込のみの求人だった模様で求人の対象にもならなかったらしい。仕事の中身を聞くと営業。特別専門性を求められる営業ではなく、一般的なPC関連の商材を量販向けに販売する営業であったらしい。

 

大卒じゃないと成立しない求人。

 
  • 医学部を卒業して国家試験に合格して医師免許を得ることが条件になる医師。
  • 大学で所定の単位を取得して教員免許を取得する事が条件になる教員。
  • 薬学部を卒業し薬剤師免許を取得する事が条件になる薬剤師。
  • 法科大学院を終了しないと受験資格を得られない司法試験を経て法曹界に入る。

 

 他にも幾多あるわけだが・・・

しかし、普通の営業。それも通常の商材を販売する営業が大卒じゃないと求人に応募する資格が得られないとなれば、それは学生から見ると何かしらの不均等を感じるのかもしれない。社格を見ても、とても一流とは言い難い企業だ。

 

その学生はチャレンジ精神旺盛な学生で、大学卒業見込み者を対象とする求人にES(エントリーシート)を送った。その応募にたいしてそれはあり得ない対応を受けたと、その時に受けた対応について教えてくれた。

 

弊社は新規学卒者は大卒しか採用しておりません。

新卒中途共に専門卒は必要としていませんので。 

 

と、これだけを書いてあるシートだった。

発信者の名前もなければ何の挨拶もない。

祝杯をあげている中にありながら、その学生が何処か怒りに満ちた顔であった事を今でも鮮明に覚えているのだが、日本の企業というのはいつまで学校の格や卒歴にこだわる様な採用を続けるのだろうか。

 

このエントリーを書くにあたって取材と称して新卒、転職と様々なサイトをみた。

その中には対象となる学歴の欄にこんな事を書いてある企業がある。

 

旧帝大系 東京6大学 関関同立

もしくはこれらと同等と認められる大学

 

今どき、バカじゃあるまいかとすら思う。時代遅れも甚だしい。

 

確かに学力の差はあるが、仕事をするにあたってそれほど大きな差が出るとは全く思えない。転職市場も同じだ。学生たちにしてみればこれからキャリアを創っていくに当たり、こんなところで壁があるなんていうのは困ったものだ。

 

世の中、平等なんてものはそもそもあり得ないとは言え、職に就く機会くらいは平等であってほしいものだ。新規学卒者や若者の就職対策なんていう事を行政はやっている様であるが、根本がこれではそんな対策は全く意味をしない。

就職対策というのであれば、その職に付くにあたって最低限必要な資格として免許状が必要な職種以外は学歴による区別(あえて差別と言わない・・・)を禁ずるくらいにしないと根本は解決できない。

 

家庭の経済的事由で大学には進めない、専門学校も苦しいが何とかという家庭もある。そうした家庭の子供たちが、そんな理由で将来の道まで制限されるなんていうのは何か疑問を感じる。そうした制限や壁が無く就職というものを出来る社会というのを目指した方が建設的なのは間違いないのではないだろうか。

 

だが、そんな壁に直面をしてしまい思う様な新卒就職が出来なかったとしても、最初に就職をした会社で自分がどんな仕事をしてどんな過ごし方をするのかを意識して仕事をすれば必ず将来の糧になるはずであり、その糧を基に次のキャリアに向けて動けばいいのではないだろうか。

 

新卒の就職なんていうのは通過点でしかないのだよ。