ダメ社員をが蒔いた種である企業が起こした採用トラブル

 今回の記事は腹立たしくもあるがネタとしては面白い、しかし、社会的問題にもなりかねない話を当事者の一人となってしまった私の友人から耳にしたので了承を得た上で、その話を今回は書いて見たいと思う。

 

前もって了解を得ておきたいと思うが、この記事において登場人物の個人名は一切伏せることとすることと登場する企業名も伏せることとしたい。その上でこの話を公表することの了承を得たからである。その点は読者の皆様にも了解をしていただきたい。

 

さて、今回の事案に関する登場する企業は

 

宅配企業子会社・・・企業A

企業Aの親会社で宅配企業・・・企業B

人材紹介会社・・・企業C

求人メディア会社・・・企業D

 

そして主な登場する人物は

 

企業A人事社員・・・社員A

企業A営業関連部署社員・・・社員Bおよび社員C

企業A社長・・・社長D

企業A取締役・・・取締役Eおよび取締役F

大手人材紹介会社企業C社員・・・人材G

 

こんなことにしておきたいと思う。

 

この件に関しては裏が取れているものであり真実であることは申し添えておきたいことであるし、日本の雇用が抱える問題の一つである「採用」や日本独特の会社文化、法制度の不備やスキルのない社員を抱える大変さなど様々な問題が浮き彫りになるような事案であるように私は思えてならないのである。

 

さて、どんな話であったのか。

 

5月初旬。

前職企業を退職し求職活動中である私の友人は人材Gから企業Aに関する求人案件の紹介を受けた。自分の経歴にも自分の希望する職種とも合致をしたためその案件にエントリーをすることを受諾した。

 

その受諾を受け人材Gは企業Aの人事である社員Aに対して人材提案を行った。

この担当者である人材Gは他の人材紹介会社や他の企業Cの営業担当者とは違い企業へ対して人材紹介をする時はメールで一方的に送りつけて書類選考を依頼するというやり方ではなく自ら書類を持ち企業へ出向きその詳細をプレゼンするというスタイルで提案を行うため私の友人は信頼をおいている人物だということだ。

 

社員Aへの提案も終わり、実際受入れる部署に所属する社員Bへの提案も終わり書類選考は通過となった。通常企業やポジションであれば、これで受入部署が行う面接となるわけだが少し違った。社員Aがこんな話をしたというのだ。

 

「親会社である企業Bに採用に向けての稟議を出さないといけない。稟議を出せば必ず承認されるものではないから心配いらない。」

 

ということで人材Gはそれを了承し私の友人とその情報を共有した。

 

しかし、2週間経過しても企業Aもしくは社員Aから連絡は来ない。

仕方なく人材Gは社員Aに対し、訪問の上、現況を教えて欲しい。いつになったら承認されるのだということで詰め寄った。それに対し社員Aは

 

「どうなっているのかわからない。企業Bに直接聞いて欲しい。」

 

と、半ば責任を放棄したかのような発言があった。

人材Gは呆れを覚えつつも、社員Aに企業Bに対しアポイントを取らせ上司と社員Aを伴い銀座にある企業Bに訪問することとなった。

 

企業Bを訪問する日になり夜のアポイントの時刻。

人材G、その上司そして社員Aの3名は銀座にある企業Bの担当部署を訪ねた。

訪問し担当部署の人物と話していたが企業Bと企業Cの話が噛み合わない。

 

そこでどんな要件で来たのか再度整理をすることになったとき社員Aは企業Bに対し訪問の要件をしっかりと伝えていないことが判明したのだ。そこから筋違いではあるものの企業Cが企業Bに対し訪問趣旨を説明するという事態になった。

 

一通りの説明が終わり、早期に承認を出すように企業Cが迫ったところ企業B側ではそのような稟議が出ていたことを把握しておらず、3段階の承認システムになっているうち1段階目に設定されている1名の承認の後、2段階目に設定された3名の承認が誰一人としてなされず2週間にも渡り放置されていたということが発覚したのだ。

 

このような事態が発覚すれば誰しもが怒り心頭になるわけだが人材Gとその上司も御多分に洩れず怒り心頭になり激しく詰め寄った。

 

要は内容を確認し承認をすればいいだけの話である。

しかし、いろいろな理由をつけて企業Bは承認することを渋る。

企業B側はこんな理由までつけたというのだ。

 

「弊社も色々なことがあってそんなに簡単に社員を採用できない」

「いやそれは違う。企業Bの採用ではなく企業Aの採用のはずだ。その理屈は通用しない。承認をしてほしい。」

 

こんなやりとりの応酬が続いた。そのうち、こんなことまで言い出した。

 

「承認者の1名は社内にいない。出社は明日だ。」

 

この手の言い訳は概ね、自分たちのミスを認めたくない時の言い訳なのだが、やりとりをしていたのは企業Bのこの件における最終承認者。

 

「ならば、あなたが承認すれば全て終わる話だ。」

確かにその通りだ。第2承認の1名に関しては代理承認を行い最終決裁すれば良い話である。しかし、対応者は縦に首を振らない。時間も時間となり最初の話し合いは終わり企業Cの2名は企業Bを後にした。

 

人材Gは第2承認者を待ち構えるべく企業Bに詰めることになった。

しかし、どんなに時間を待っても第2承認者は現れない。席を確認しても出社した形跡はない。何らかの力が働き当該のオフィスには出社しない様に指示が出ているのか・・・。いろいろな猜疑心がめぐる。

 

事件が経過してもなお、当該人物は出社はしない。人材Gは会社に連絡をする。

「お膳立てしたのにまだもらえてないのか。」と上司から言われる。候補者である私の友人も待っている。焦りの気持ちが走る。しかし、承認者は現れない。

 

そうこうしている内に、企業Aも交えた上での再度の話し合いが持たれた。

粘り強い交渉の成果か承認をするという言葉を企業Bから引き出せた。これも当たり前の話であるし、これで終わるならばこんな記事を書くこともしない。この先に問題が控えていたから記事を書くことになるわけだが・・・。

 

企業Aの出席者は企業Aの社長である社長D、そして取締役Eだ。

それらの人物の口から驚くべきことを口走ったのである。

 

「承認が出たら再度書類選考をやる。」

 

こんなことを言ったら諦めると思ったのか。

そうならば稚拙にも程がある。私もその話を聞いた時に、これまでも自らのミスを認めず謝罪をすることもなく大凡、筋の通らない言い訳をした上に子会社がこれではその会社のレベルも知れたものだと怒りを越え呆れすら覚えた。

 

ここまでの交渉をやってきたのだから企業C側はそれを認めるわけもなく。

「それは認めるわけにはいかない。再度書類選考をやる必要はどこにある。」

 

そう言って理由を求めた。

 

「会社として書類選考を行なったわけではない。だから再度やる。」

 

そんな趣旨のことを言ったそうだ。

どこに、この話を聞いて「はい。わかりました。」と言う人がいるのだろうか。

この企業は通常、どんなスキームで選考を行っているのか。話を聞いてみると概ねこんなところだ。

 

  • 人事に必要書類を提出する。
  • 現場が書類選考を行う。
  • 書類選考を通過したならば人事は現場が行う面接手配に着手する。

 

面接を行うまでのスキームはこうだ。

そうであるならば、経営側が採用に関して不当な介入をしようとしている事にもなるし、明らかに企業Cにとっては嫌がらせでしかないことは間違いない。

 

その後、話は平行線をたどり企業Bはこう出た。

 

「承認を出すのだから後は、当事者間の話なので勝手にやってくれ。」

 

と言うことで、自らが承認を放置したことを謝罪することもなく匙を投げた。

そこで、大塚にある企業Aに場所を移して交渉を進めることとなった。そこには、企業Cの社長、双方の顧問弁護士もいる。途中から社員A・Bも呼ばれて話をした。

 

社員Bはこの状況に関して候補者である私の友人に説明をする用意もあると言う話をした。要は企業Cの側に回り自らの会社と対峙をしたと言うのだ。それに対し企業Aは裏で社員Bを激しく叱責をしたそうだ。

 

そんな時、人材Gは一つの行動を起こした。

この企業ではある職種の募集に関しては、親会社の承認なしに行える。言い換えるとフリーに行えると言う情報を耳にしていた。

 

人事A、社員Bにこれをうまく利用して採用へ結びつけることはできないだろうか。あくまで自己募集の自己応募ということで。という相談をした。そうしたところ、人事Aもしくは社員B共にやれるならやってみようということでそのスキームづくりに着手をした。

 

それと並行して連日、企業間の交渉が行われたが平行線をたどり・・・。

この件に関しては最終的に弁護士間での交渉調整という、今回の事象が有耶無耶になる確率の高い方向へと進むことになった。

 

この件、聞くことができた事実を基に推測するとこういう言い方できると思う。

現場が行なった適正なスキームの中で人事が稟議を出すという作業をするに、適切な事前連絡を怠り、無言で稟議を提出。その経過を確認することもないままに、時間だけが過ぎていたことによって、企業Cの追及により企業Bの業務怠慢が露見してしまった。

 

企業Bの幹部は業務怠慢について企業Cより追及を受けた。その結果、企業Aの社長Dと取締役Eは社会通念上謂れの無い叱責を受けた。その叱責に対する腹いせとして企業Aの社長D・取締役Eは、嫌がらせとも取れる行為で企業Cを諦めさせようと画策して行動に移した。この行動自体が企業Bの指示である可能性も否めない。しかし、企業Bは匙を投げた。企業Cは一向に譲らなかったため双方の顧問弁護士間の話で有耶無耶になる方向になってしまったということなのだと思う。

 

ここまでの話で大きな問題が一つある。

候補者が全く置き去りにされてしまっているところだ。

この内容を聞く限りでは、少なくとも候補者のことを言及するくだりが一つも見えなかった。特に企業A・Bからその言及がなされなかったのは自らの都合だけを優先させた、求職者を顧みないものであり許されないものである。

 

 

さて、人材Gが相談したスキーム。これを裏の動きと呼ぶこととする。

これはどうしてもこの企業で仕事をしたいという私の友人の意向を受けてのことだが、その場にいた社員A・Bは危ない橋を渡ることにはなるが「候補者のためならば」いうことでその動きを取ることにしたという。

 

当然、業務外での活動となるため業務後のミーティングとなる。連日連夜深夜早朝に及ぶミーティングを行ったそうだ。スキームを作る中で、フリーに採用活動を行える部署を預かる社員Cを巻き込むこととなり、打ち合わせが重ねられスキームは確定した。面接については確約ということでの対応になった。

 

候補者である私の友人もそのスキームにより定められた求人の内容に合わせた書類を提出しなおした。このスキームは企業Aの幹部の承認なしにやっても問題がないはずだった。ここで問題が起きた。

 

スキーム上、募集求人が決まって数日で書類選考の通過が出せるというスキームだった。しかし、またもや書類選考の通過をいくら待てども社員Aからもたらされない。人材Gは確認を取った。

 

そうしたところ、6月19日から21日の間にはその連絡を出すと社員Aは明言したのだ。社員B・Cはそんな日付じゃなくてもっと早く出せると譲らなかったが最終的には社員Aの意思が固くそれを呑む格好となった。

 

その間、様々な話し合いがされたそうだ。

その最中、一つの事件が発覚をする。これまでスキームを決め色々と調整してきた内容に関して思わぬ行動を取っていた人物がいたことが発覚した。

 

「今こんな内容で採用を考えている。こんな人材が上がってくるはずだ。」

 

と、いう内容を企業Aの取締役Fに話をしてしまったのだ。

 

その時に、急いでやる内容なのか問われ何も言えなくなり社員Aの動きが途端に遅くなる。もしくは動きを渋るようになる。そして19日から21日の約束も社員Aは反故にしてしまったというのだ。これには社員B・Cも怒り心頭になり社員Aに対し様々な罵声を浴びせることになる。

 

そこで社員Aに関しては排除し社員B・C中心の動きとして進行させることになった。しかし、また動きは遅々として進まない。連日、深夜早朝に及ぶ話し合いが繰り広げられたそうだ。しかし、話は進まない。

 

話が進まない中、新たな事件が起きた。

大手求人メディアおよび人材紹介会社の企業Dが運営する求人メディアに6月18日を掲載始期として企業Aの求人が掲載されていたのだ。普通に求人が掲載されていただけでは衝撃も何もない世間的には当たり前のことだ。

 

何が衝撃だったかといえば企業Aと企業Cがトラブルになった求人案件に関して給与条件のみを変えてそのほかは一言一句変わらない全く同じものが掲載されていたのだ。これを発見した私の友人も驚き、すぐに人材Gに相談と情報共有をした。

 

私の友人は6月18日の掲載始期で人事の出した日程に合点がいった。

企業Dの求人メディアに6月18日に掲載されることを知っていたからこそ6月19日から21日に面接連絡をすると言ったのだ。そうではないと都合よくそんな日程は出てこない。

 

人材Gは人事担当である社員Aと現場担当の社員B・Cとアポイントを取った。

日程の件も含めて社員Aに詰め寄った。社員Aは求人掲載に関する認知はしていないこととそれへの関与は強く否定した。社員B・Cは前回よりも強く社員Aに対し罵声・怒声を浴びせた。社員Aは涙を流し「すみません」と呟いた。

 

社員B・Cは新しい動きに出た。今回のことの端緒となった事案に関して企業Aの労働組合に情報共有をして労働組合を動かし採用活動の正常化をさせようという動きをとる事とした。そして人材Gに対し企業Cにも求人メディアへの同求人掲載の件を共有して企業Cとして動きを取ってほしい旨を伝えてきた。

人材Gは直ぐさま企業Cの幹部に報告。企業Cでの協議の結果、社長と顧問弁護士は企業Aに出向く事となった。また、企業Cの幹部一名は業界のつながりを駆使して企業Dに対し情報提供を求めた。

 

可能な限りの情報提供を受け、人材Gと社長、顧問弁護士の3名は企業Aに出向いた。様々な話をしたそうだ。しかし、何か実になった話があるかといえば反目同士。実になる話などできるはずがない。最終的には、企業Cは業界団体で事例と社名共有することを伝えた。これがうまく働けば企業Aは採用活動に著しい支障が出ることには間違いない。そして企業Aはその通告に対し、自らが蒔いた種で起きたモラル違反を棚に上げ、何か実害が出ることになれば訴えると脅してきたそうだ。企業Aは取締役Eと先般の交渉時とは違う顧問弁護士が出席していたという。

 

企業Cは早速動き出したと聞き及んでいる。

 

さて、話を裏の動きに戻したい。

いくら、待てども遅々として動きは出ない。むしろ後退しているのではないかと思うくらいだったようだ。何かに恐れるような態度こそ見せないものの保身の言葉と態度しか出ない社員B・C。会社に出てこなくなった社員A。

 

社員B・Cは組合の動きを待って動きたいようなことも口走ったようだ。

それを聞いたときの印象として候補者のことは全く考えていないことがわかった。と私の友人は言った。

 

そして、私の友人はある決断をした。

人材Gに対して彼らが面接を実施できないのであれば、そして明確にその日程を出さないのであればもうこのスキームを実行するための動きを打ち切ろう。

 

その日の打ち合わせに立ち会っていた人材Gは打ち切りを宣言した。

社員B・Cは打ち切りの宣言を聞いたときに呆気にとられていたようだ。

 

というのがすべての流れだ。

 

未解決の採用トラブルに関する話だが、とても私は聞いていて腹立たしい思いはした。しかし、この話のどこを見ても違法性はない。法律ではこの段階だと保護はされない。法律的に保護の対象となるのは内定後。

即ち、内定が出てそれが限定的ではあるが雇用契約を締結したとみなされるところからだ。それもあくまで限定的ではあるが。

 

こうした悪質な企業がある以上、企業への応募段階からある程度の保護対象になるような法制度にしないと、こうしたトラブルは発生し続けるものと思われるし、こうしたトラブルを起こした企業を把握して採用活動に制限が及ぶような仕組みにすることはできないだろうかと真剣に考える。

 

企業は自由に採用活動もできるしモラル崩壊していてもお咎めなし。何でもできてしまう。なんていうのはどうにも解せないし、どう考えても許されていいはずがない。求職者側には高い倫理観の中で求職活動を求めていながらその状況はやはりおかしい。

 

日本は採用する側と採用される側のパワーバランスがどうにもおかしい。

これまで述べたようなところが、その要因の一つならば早急に是正をしなければならないと思うのは私だけではないはずだ。

 

ところで・・・。

この件の諸悪の根源は企業Aでもなければ企業Bでもない。

企業Aは本当に悪辣。企業Bに関しては、ただただ怠慢だ。企業Bに関していえば昨年色々な違法行為が発覚した企業であるということに関して納得できた。いまでも労務系の違法行為がポロポロ出てきている。

 

それでは、諸悪の根源で全てのタネを巻いたのは誰だろうか・・・。

それは企業Aの人事担当社員である社員Aに他ならないと私は思うのである。

話を聞いていてスキルのなさがありありと伺えてくるのだが、ここまでのスキルの無さと判断能力のなさは違う意味で稀有な存在かもしれない。

 

仕事のできない社員の典型である。スキルのない社員が何かの中枢にいたとき、その会社はトラブルを抱えてしまうという典型を見せられたとしか思えないくらいのダメさに大変申し訳ないが腹を抱えて笑ってしまった。