クライマックスシリーズでの下剋上から考える

起こってはいけない事が起こる前兆が始まった様な気がしてならない。

セントラルリーグは10月13日、パシフィックリーグは10月14日に日本シリーズへの出場権をかけてクライマックスシリーズのファーストステージが終わった。

結果はセントラルリーグの3位広島東洋カープパシフィックリーグの3位千葉ロッテマリーンズがファイナルに進む事となった。結果としては俗に言う『下剋上』 両リーグともに2位チームがファーストステージ終了とともに今シーズンを終える事となった。

ファイナルの組合せは

セントラル:東京讀賣ジャイアンツ-広島東洋カープ
パシフィック:東北楽天ゴールデンイーグルス-千葉ロッテマリーンズ

となった。
このクライマックスシリーズの面白さと言えばそれまでかもしれないが、この結果によっては勝率4割台のチームが日本シリーズに出場する事になりかねない事態となった。そもそもセントラル・パシフィック両リーグの1位のチームがその年度のプロ野球の日本一のチームを決するのが日本シリーズだったように記憶をしている。

もし万が一だ。
これから行われるファイナルにおいて広島東洋カープ千葉ロッテマリーンズが勝ち進んだ時どうか。
普通の思考を持ち合わせた人ならば、勝ち進んだのが自分のファン球団であってもその結果に何か違和感を感じるのではないだろうか。

考えてみればすぐにわかる。144試合の成績と選手の一挙手一動足を無駄にしてしまう可能性を秘めているのだ。レギュラーシーズン120試合、そしてその成績に考慮されることになる交流戦24試合が何も意味の無いものになってしまうのではないかと思うのだ。

今の日本の仕組みを簡単に言い現わせば・・・
『最後のゲームの得点は1000点。これに勝ったら誰でも逆転優勝のチャンスです。』
まるで、若い芸能人がたくさん出てワイワイガヤガヤやって視聴率は取れない質の悪いバラエティ番組の様だ。プロ野球という真剣勝負の中にそんな質の悪いバラエティの要素があること自体虚しさすら感じる。

アメリカMLBではどうかと言うと・・・。
リーグ毎に、各3地区(西・中・東)のそれぞれの優勝3チームが出場。その他に3地区の2位チームでワイルドカードゲームと呼ばれるプレーオフを行い最高勝率1チームを選び、合計4チームでリーグの覇権が争われ、その中でリーグの1位になったチームがワールドシリーズに出場すると言う仕組みだ。
日本のクライマックスシリーズとは全くわけが違う。

日本も現状の様なクライマックスシリーズを行いたいのであれば、リーグの覇権を争わせる形式のプレオフに変えるべきだ。MLBに比べれば絶対的にチーム数が少ない日本では地区分けすら難しい。そうなれば前期後期制に移行するとかレギュラーシーズンの144試合が形骸化しない方法はいくらでもある。

レギュラーシーズンが形骸化しない工夫をしないと、いつまでも
『まずはクライマックスシリーズに出場できる3位以内に入らないと・・・』
なんてオカシなコメントを野球ファンは聞き続けなければならなくなる。

それは全く以って違う。
『何としてもリーグ優勝しないとね。』
これが本来あるべきコメントのように思う。こんなコメントを続けている選手・監督がいるチームが優勝できるとも思わないし、リーグの覇権を争うレギュラーシーズンの面白さをグランドレベルからかき消してしまっている様にも思う。

クライマックスシリーズにおいてそのリーグの優勝チームが日本シリーズに進めなかった事が過去に両リーグともに1度ずつある。2007年2位中日が1位東京讀賣を下した事例。2010年に3位千葉ロッテが1位ソフトバンクを下した事例だ。2007年の事例ではゲーム差1.5の2位チームにが負けた為にそう問題にならなかった様な気がするが、もし万が一だ。先述の様な事が起きたならそれは大問題になる。

勝率は4割台、ゲーム差17の3位チームに負けたのでは2007年の事例と意味が違う。それはそれで黙っていない人がいるだろう。詳細は書かないがお分かりの方も多いと思う。あの方が問題にすれば、その仕組みは変わる方に話は進んで行くように思う。

しかしだ。そんな事で仕組が変わるならもっと早く変わっているだろうし、とても健全な姿ではない。

それはそれとして・・・
ファイナルでは、東京讀賣と東北楽天に勝ってもらって真の日本一を決めてもらいたいものだ。
もう少し希望を言えば東北楽天に勝ってもらう事がベストだと。