ドラマ半沢直樹に感じる事

日曜9時のTBSドラマ半沢直樹が活況である。

視聴率も良い数字叩きだす週が続いている。このドラマに関しては改めて説明をする事もないだろうが銀行員半沢直樹を主人公に銀行の融資の現場を舞台にその内外の人や組織による圧力や逆境と闘う姿を描いたドラマだ。

私は、これがドラマ化される前に原作にあたる池井戸潤氏の『オレたちバブル入行組』と『オレたち花のバブル組』を読んでいた。その時からこの展開の速さ、主人公の痛快さなどを感じるにつけ『チャンバラ劇』の要素を何処となく感じ作品の奥深さに感銘を受けた。

ところで、このドラマを見ていて何か感じるところはないだろうか。
原作者の池井戸潤氏は1988年に当時の三菱銀行に入行され1995年までをそこで過ごした、まさにバブル期のバンカー(銀行員)だった。そのバブル期に入行した池井戸氏が当時の銀行というものに思いを馳せながら半沢直樹という主人公を使ってバブル崩壊後に何かを失って違う方向に行きつつある銀行へ何かの警鐘を鳴らしている様に見えてならないのだ。

確かに今の銀行と言えば融資よりも預金、預金よりも投資信託、保険とどちらかと言えば金融手数料ビジネスの総合商社という色合いが強く見える。確かにそうだ。手数料が発生する金融商品もしくは金融類似商品を販売すれば確実に手数料は入ってくる。それもある程度の期間その大小にかかわらず手数料は入ってる。

しかし、融資と言えば・・・
融資の件数や額ともにバブル期のような伸びはなく企業向けの大規模融資はバブル期に比べれば多くはない。また融資をすれば焦げ付きもある程度は見越さねばならない。そう考えた時、本分とは違うところへ進出し手数料収入を勘定した方がよっぽど収益の確実性は高くなるという事なのだろう。

しかし、銀行のそうした行動が日本経済の活力だけではなく底力まで失わせている事に違いはない。そんな今の銀行に対して・・・

『バブル入行組は活力に満ちたバンカーとしてその本分に向かい日々力いっぱい闘っていたんだ。今の銀行は今一度自らの本分というものに対峙して力いっぱい闘え。』

そんなメッセージの籠った警鐘をこのドラマは鳴らしている様に感じるのである。
強いメッセージ性のある主人公、半沢直樹の言葉一つ一つがそう感じさせるようなところもあるのだろうが、久々に強いメッセージ性のあるドラマに出会った様な気がする。

ただ・・・
原作を読んでドラマを見ると何処か劣化・・・。
パワーダウンを感じるのは仕方ない事なんだろうな。